みんなのあこがれのバッグと言えば、エルメスのバーキンが代表格として知られています。
ところがエルメスは、バーキンに限らず革製品のバッグ類に関して、世界中で簡単に手に入らないことで知られています。
つまり、今回カリフォルニアで独占禁止法違反でエルメスを告訴したという事案は、世界中、いつ起きてもおかしくない内容だったことが、エルメスラバーたちならよく認識されていることです。
エルメスのバッグが簡単に手に入らない現状や、手に入れるために必要な常識とされてるエルメスの商法についてまとめます。
カリフォルニアでバーキンの販売方法でエルメスが訴えられた理由と判決は?
今回訴訟を起こした原告は、カリフォルニアの店舗でバーキンを購入しようとしたとき、購入の条件として他のエルメスの商品を複数商品を購入するよう要求された上、最終的に、2022年9月にバッグを購入することができなかったことに対し、開かれた販売形式ではないという不満から発したものであった。
エルメスでは「あるある」で当たり前になっていた別商品とのセット購入を条件とすることはアメリカの独占禁止法に違反するとしてエルメスが提訴されたのだ。
判決は
「エルメスはバーキンを高額購入者向けに確保しているのかもしれないが、それ自体は独占禁止法違反には当たらない」として訴訟を棄却。再訴訟はできないため、エルメス側の勝訴で決着となった。
エルメスのバッグを購入するため必要な「当たり前の条件」とは?
エルメスのバッグを購入しようとした人ならだれでも知ってる常識となっているのが、限りある数しか生産できない職人技によってつくられるバッグ類の販売方法は、確かに不公平である。
世界中でいつかエルメスのバッグを持ちたいという憧れる人たちの数たるや、一つひとつをフィレンツェなどの革職人が丹精込めて作り上げるバッグの数は到底追いつかない希少なバッグである。
さらにバッグの持ち手によっては、その持ち手を作れる技術のある職人がほとんどいない為に高額になっているバッグもあるほど、エルメスのバッグは到底大量生産もできない、特別な技術者たちにより作り出されている。
圧倒的に需要に供給が追い付いていない中での苦渋の決断でもある。
エルメス店舗で店員と客の「あるあるやり取り」とは?

結果的に現場では
客:「今日はバーキンはありますか」 バーキンに限らずあらゆる革製バッグも同じである。
店員:いったんバッグヤードに探しに行く(ふりをする)
「申し訳ございません。今日はバーキンは入荷がないようです」
客:「では、今日は他に入荷のあるバッグはありますか」もしくは「今日はピコタンはありますか」
などの質問をすると
店員:「今日はあいにくバッグ類は店頭に出ていてデイスプレイオンリーと書かれたもの以外しか在庫はありません」
と、一発で「はい、あります」と品物が出てくることはまずない。
これが常識で、バッグだけ目的で買いに行ったら手に入ることは、ほぼない。
エルメス店舗がなぜ誰にでも在庫がある物を売らないか?

エルメスとしても、お金さえあれば、誰でも持てるバッグであると、価値が下がると考えてる。
フランスらしい考え方だと思う。
成金より、本当に持つにふさわしい家柄であったり、家庭の人に持ってもらいたいのである。
貴族制度のあった国なので、持つにふさわしい家柄の人、グレースケリーを代表とし、企業が求めてる根本は、職業差別ではないが、例えばキャバクラで働いていて、パパ活とかで買ってもらってバーキンを持ってる人は山ほどいるのが現状だが、そういうのを本当は防ぎたいのだと思う。
また転売ヤーを防いで、正当な価格で取引をしてほしいというのもある。
昔から購入すると、必ず購入者登録をされて、過去の購入履歴が見れるようにされている。
EU圏内は、フランスで購入した履歴がイタリアでも見ることができる。
それにより、怪しい転売ヤーかどうか見極めることができる利点がある。
ちなみに購入履歴は、EUと日本はデーターは共有されていないそうだ。
また顧客であるかや、他にもいろいろな情報が、そのリストには書かれているのではないかと思う。
日本でエルメスの商品の選択肢が少ない訳は?

日本はなかなかバッグ類が買えない理由として、ハワイのエルメスの店員さんに聞いた。
日本は顧客が多いので、新作が出るとその顧客に優先的に売るために確保すると、一般への販売数が一気に減ってしまう。
そのため、例えばだが、ツイリーと言われるミニスカーフなどが、国内店舗だと、選択肢が5枚ぐらいしかないのが普通でそこから選ばないとならない。
ところがハワイに行くと、30種類以上が出てくるので、日本人客が皆驚くという。
理由は、ハワイは観光客ばかりで一定の顧客はいない為、確保する必要のある顧客がいないので、みんなに平等に出せるから種類が多いという。
もちろん、革製品はハワイも簡単には出てこず、隠していた。
【実例】エルメス店舗でバッグを買う方法(日本・ハワイ・ドバイ・フランス)

いろんな国でエルメスの革バッグを買うのに、実際あった例を挙げると
日本
担当さんがついて顧客制度が定着している。
そのため、いちげんさんがエルメス店舗に行って、「バーキンがありますか?エブリンはありますか?」などと聞いて、手に入ることはほとんどないと思われる。
たいていは、いったんバックヤードに探しに行くふりをして戻ってきて「ない」と言われる。
その横で、テーブル席や、人によっては中の部屋に呼ばれている客は、「ない」と言われてるバッグを購入してるのだ。
もちろん、見えないよう注意を払っているので、普通は気づかない。
ケリーとバーキンは、1年間に一人の客が買える数が2つと制限があるので、そのためにも購入履歴の管理がされている。
バッグが無いと言われても、どうしても欲しければここで諦めずに、革製品以外の物を購入する。
ベルトとか、ストールとか、アクセサリーや靴、衣類を買うと・・
急に、店員さんから、「バッグ類も見ますか」など声がかかったりすることもある。
衣類や靴などを買うとチャンスが訪れやすいようだ。
店員さんも売り上げでいろいろあるので、売り上げにカウントされるバッグ以外を買ってくれた人には、おそらく優遇するのではないかと思う。
ハワイ
ハワイで靴を買った時、店員さんが、やはり探してるものがないか聞いてきた。
そしてその日はなかったが、滞在する日にちを聞いてくれてその間に入荷があったら電話をしてくれるという事が数年前にあった。
滞在中に実際革製品二つ、電話をいただき、今なら取り置きしますと言って売ってくれました。
またあるケースは、結婚10周年でバーキンが欲しいと言ったご主人。
「今日は入荷が無い」と言われた。
そこで母にお土産にストールを買ったり家族に、いろいろ買い物をしていたところ、店員さんに
「明日出すはずのバーキンの黒が今あったので、特別今日こっそり売ります」
と言われ、みごとにバーキンの黒、30センチという大人気のバッグを妻に購入してきた。
カリフォルニアでの訴訟の通り、これをセット売りというのだろう。
ドバイ

ドバイのエルメスも、店員対応に1時間待ちなどで、まずは店員さん確保に電話番号を告げて、順番が来ると電話が着て、それから店舗へ行ったりする。
当然バッグは今日はないと最初に言われる。
そこで、仕方なく小物をいろいろ買い始めると、いきなり、今日あるバッグリストという写真付きの紙がでてきて、今日はこのバッグがあると店員さんから言ってきたりする。
人気のバッグがいろいろあって驚くし、当然売ってもらえるので、なかったはずの革バッグが購入できる。
これがエルメスの世界共通の販売方法だ。
フランス
これはもう、20年ぐらい前に都市伝説的に言われた商品を紹介してもらうためのテクニック。
店員さんがちゃんと相手してくれるためのテクニックだが、
夫婦で行くといいと言われた。
エルメスの小物を身につけていくのは当たり前、特にベルトなど、エルメスつうでないと買わないものを身につけるのがポイントと言われた。

スカーフのように誰もが持ってるものではなく、本当にエルメスが好きなんですという気持ちが伝わる小物だ。
特に以前はバッグ類はオーダーするもが主流だったので、オーダーを聞いてもらうために、エルメス通ですという雰囲気で、夫婦で行くと転売ヤーの心配もないし、家にお金があるという印象になるのだろうか。
最近で言うと、ユーチューバーの「てんちむ」がコロナ時期にパリでバーキンを買った時に、これを買うために必要ないものいろいろ買ったと話して見せていたのが、帽子・スカートなど衣類をいろいろ購入していた。
何百万もアパレル品を買って、バーキンを紹介してもらえて購入していました。
エルメスでバッグを買うための条件と、カリフォルニアエルメス訴訟
以上、世界中で今は当たり前にセット売りと言われる販売方法がエルメスでは現実にある。
アパレル品を買わないと、バッグを紹介してもらえないのは、ほぼ事実。
ある中国人の人がユーチューブで話していた。
どうしてもバーキンが欲しくて、何と他の物を2000万円も買ったのに、バーキンを売ってもらえなかったという訴えのような内容だった。
その時は本当に在庫がなかったのかもしれないが、1日に店舗に何回かバッグが入荷するタイミングがあって、その時間に居合わせる運も必要だ。
もちろん、顧客は取り置きをしてもらっているケースも多い。
また担当の人がいるかどうかでも、かなり違うし、担当さんの中で、顧客に売りたくて取り合いがあるという話もたまに聞くので、人間だから担当さんとの普段のかかわりも大切なのかもしれない。
まとめ
こういう事情を知ったうえで、カリフォルニアで、セット販売を強いられて買えなかったという理由で、エルメスを独禁法で訴えた事件だが、伝統ある老舗の販売方法をいまさら訴えても、老舗のこだわり、バッグだけでなく、小物まで使ってくれる本当にエルメスを日常に近くにおいてる人に使ってほしい、売りたいというプライドのようなものに対し、そもそも文句を言っても混乱するだけかもしれない。
これがカリフォルニアで独禁法で勝訴したら世界中のエルメス店舗もパニックだ。
そういう大きな影響考えても、今回の訴訟は、エルメスを勝訴させるしかない事案だったのかもしれない。
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